正常眼圧緑内障に鍼灸・漢方|東北大学研究が示す当帰芍薬散と内関・公孫の実力

【概要】 

東北大学の研究で、当帰芍薬散が眼底血流を改善し、視野欠損の進行を抑える可能性が示されました。さらに内関・公孫の併用で、循環改善効果が高まります。



【本文】


こんな症状でお悩みではありませんか?

「眼圧は正常なのに、視野が徐々に欠けている」――正常眼圧緑内障(NTG)と診断された方へ。現在の標準治療に加え、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)とツボ(内関・公孫)の併用が、眼底血流の改善を通じて病態の進行抑制に役立つ可能性が、国内外の研究で示されつつあります。

ここでは最新のエビデンスと、当院の臨床現場での実感をもとに、科学的根拠に基づいたセルフケアを解説します。


研究でわかっていること(エビデンス)

① 東北大学:当帰芍薬散が眼底血流を有意に増加させる

2014年に東北大学大学院医学系研究科の**髙山真(Takayama Shin)**らが発表した研究(Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine, 2014, Article 586857)では、健常者13名に当帰芍薬散を投与したクロスオーバー試験で、服用30分後に視神経乳頭の眼底血流(OBF:ocular blood flow)が有意に増加(100%→103.6±6.9%、p<0.01)することが示されました。血圧と眼圧には変化がなかったため、血圧低下リスクなく眼底循環だけを改善するという、NTG治療に理想的な作用プロファイルが確認されています。

② NTG患者への応用:視野欠損の進行が停止

2017年に菊地章子(Kikuchi Akiko)・髙山真らが発表した後続研究(EPMA Journal, 8(2):171-175, 2017)では、Flammer症候群を伴うNTG患者に当帰芍薬散を投与した症例報告で、治療期間全体を通じて視野欠損の進行が認められなかったと報告されています。NTGの背景にある「眼血流の自己調節能障害」に対し、当帰芍薬散が血管拡張を介して是正する可能性が示唆されました。

③ 内関・公孫の配穴:循環改善のゴールデンペア

さらに、内関(PC6)と公孫(SP4)の組み合わせは、循環動態の調整に古くから用いられてきた配穴です。孫静(Sun Jing)らが2013年に発表したEP Europace, 15(1):127-133のランダム化比較試験(RCT:無作為に群を分けて比較する信頼性の高い研究手法)では、内関への電気鍼刺激が心拍出量を増加させ、拡張期血圧を維持する効果が証明されています。


ツボ塾の見解

これら複数の研究結果を統合すると、**NTGは「眼圧の病気」ではなく「眼血流の病気」**という視点が浮かび上がります。点眼薬による眼圧コントロールだけで視野欠損の進行が止まらない症例が少なくないのは、このためです。

当院では、眼科主治医の標準治療(点眼)を継続していただきながら、当帰芍薬散の内服+内関・公孫への鍼灸刺激を併用することで、「冷え」「頭重感」「めまい」といった随伴症状の改善を実感されている患者さんが多くいらっしゃいます。25年以上の臨床経験のなかで、NTG患者さんに共通する「冷え」「低血圧傾向」「毛細血管の反応性低下」は、まさにFlammer症候群の特徴と一致しており、当帰芍薬散の適応像と重なります。

ご自身でできることとして、まずは内関と公孫の指圧から始めてみてください。

  • 内関(ないかん):手首のしわから指3本分、肘側の前腕内側、2本の腱の間
  • 公孫(こうそん):足の親指の内側を足首方向になぞり、指が止まる大きな骨の上

親指の腹でやや痛気持ちいい程度の圧で3〜5秒、10回ずつ、朝晩に刺激してみてください。当帰芍薬散の内服については、必ず医師または薬剤師にご相談のうえ判断してください。


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参考文献

  1. Takayama S, Shiga Y, Kokubun T, et al. The Traditional Kampo Medicine Tokishakuyakusan Increases Ocular Blood Flow in Healthy Subjects. Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine. 2014;2014:586857. DOI:10.1155/2014/586857
  2. Kikuchi A, Shiga Y, Takayama S, Arita R, et al. Traditional medicine as a potential treatment for Flammer syndrome. EPMA Journal. 2017;8(2):171-175. DOI:10.1007/s13167-017-0091-9
  3. Sun J, et al. Electroacupuncture improves orthostatic tolerance in healthy individuals via improving cardiac function and activating the sympathetic system. EP Europace. 2013;15(1):127-133. DOI:10.1093/europace/eus220

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